2023 はなぶさレター11月号
あっという間に秋が深まり、あんなに厳しかった暑さを忘れてしまうほどですね。幼稚園も運動会、芋掘り、遠足と秋ならでは行事を楽しんでいます。そして、少しずつ発表会の話題も出て来ると思います。発表会は表現力を育てることもねらいの一つにしていますが、表現力を育てるために大切なことは日頃から自分の気持ちや考えを伝えることや相手のことを思いやる経験が大切になってきます。また、読書もとても重要です。幼稚園では読むことの前段階として読み聞かせを大切にしています。色々な言葉を知り、登場人物にいつの間にか気持ちを重ね、面白がったり、怖がったり、興奮したりと気持ちを汲み取る経験を重ねることが出来ます。小さいときにたくさんの読み聞かせをしてもらった子や家庭の蔵書量が多い環境の子は、小中学生になっても読書量が多くなるというデータも出ています。また、読書量の多い子は「理解」や「思考」、「表現」などの活動について「得意」と自己評価する傾向にあり、自信や将来の夢を描くことにも良い影響があるそうです。近年、子どもたちを取り巻く環境はデジタル化が進み、文具・玩具や日用品も高度で便利になり、寄り道や失敗を少なくして短時間で結果に辿り着けるようになりました。でも、私は一見無駄とも思える寄り道や失敗をしている時の試行錯誤、他者との意見交換や議論の時間が多い方がより豊かな知識や感性が育つのではないかと思っています。読み聞かせや読書は結果が出るまで時間がかかり、一日では辿り着けないこともあります。しかし、その間の想像(どきどき・わくわく)する時間は、とても素敵な時間ですね。以前にも中高生の読解力の低下が著しく、問題を適切に読み取れない子が増えていることに触れました。それは、数学や理科の問題も読み取れないということです。電子辞書、ネット、チャットGPTを使いこなすことは出来ても、生きていく上で複雑で困難な状況に直面したときに思慮深く考え行動することができず、判断も人まかせ(もしかするとデジタルまかせ?)になってしまうかもしれません。子どもたちの生きる力を育てるために小さいときの読み聞かせから始まる読書は、誰にでもできて最も効果のある生活体験ではないでしょうか・・・まずは家庭に本を増やし、子どもに求められる前に身近にある絵本を手に取ってみてはどうでしょう。子どもたちにとって何よりの贈り物になるに違いありません。そしてそれは、親にとっても豊かな時間が広がるかもしれません。